「コーヒーがダイエットに効果的」という話はよく聞きますが、カフェインやクロロゲン酸などの成分はダイエット目線で見て効果的なのでしょうか。コーヒーの成分やカフェインによる脂肪燃焼のメカニズム、コーヒーをどのように飲めばさらに効果的なのか、これらを詳しく検証していきます。 コーヒー…… more にダイエット効果はある？期待出来る健康効果効果って？ コーヒーには以下のような健康効果があるとされています。 脂肪燃焼効果(カフェイン) 糖尿病予防(ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸) アンチエイジング(クロロゲン酸) それぞれをダイエット、健康改善という目線から考えてみましょう。 そもそもコーヒーってカロリーはあるの？ コーヒーは一般的にノンカロリー・あるいはゼロカロリーと言われる飲み物です。この、ノンカロリー・ゼロカロリーの基準は、100g当たり5kcal以下の食べ物に用いられます。コーヒーは100ml当たり4～5kcalほどですから、ほとんどカロリーはないと言っていいでしょう。 ただし、お砂糖やミルクを入れると、もちろんカロリーが上がりますので注意してください。 コーヒーに砂糖やミルクを入れたらカロリーはどうなる？ 砂糖小さじ一杯でプラス20kcal コーヒーフレッシュ一個(5ml)でプラス12kcal カフェオレ(牛乳70mlと砂糖小さじ一)でプラス70kcal となります。人気のカフェラテやカプチーノは大半がミルク＋砂糖なので、一杯100kcal以上ありますので、飲み過ぎには注意です。 ダイエット中にコーヒーを飲むなら、ブラックがお勧め どうしても何かをいれたい場合は、豆乳をいれてソイラテにすると良いでしょう。豆乳は低GI食品といって、血糖値の上がりにくい食べ物です。また、大豆製品には血糖値の上昇をゆるやかにしてくれる作用もあり、一石二鳥の飲み物と言えるでしょう。ただし、調整豆乳は砂糖が含まれていますので要注意です。 甘みが欲しい場合はオリゴ糖や黒砂糖などの血糖値の上がりにくいものを選ぶようにします。 コーヒーに含まれる二つの成分とそのダイエット効果 クロロゲン酸の健康効果 コーヒーに含まれるポリフェノールのことをクロロゲン酸といいます。 クロロゲン酸には三つの効果があります。 血糖値を調整しコレステロールを下げる効果があります。クロロゲン酸は糖質の吸収を遅くすることで脂肪をつきにくくし、すでについてしまった脂肪に対しては燃焼をサポートしてくれます。 胃液の分泌を促し、消化を助ける。 アンチエイジング効果がある。クロロゲン酸は活性酸素を除去し、細胞を若々しく保ってくれる効果があります。 カフェインの健康効果 コーヒーといえばカフェインが有名ですが、具体的にどのような作用があるのでしょうか。 脂肪燃焼効果 利尿作用。体から余計な塩分と水分を輩出してくれるので、むくみが解消されます。ですが、利尿作用により水分が排出されすぎると体が水分不足に陥ります。すると脂肪燃焼効果が滞ってしまいますので、水分補給も同時に行いましょう。コーヒーには利尿作用があるので水分補給として考えるのは禁物です。 脳の覚醒 脂肪を燃やす働きがあります。消化酵素リパーゼに働きかけ、脂肪細胞を刺激する作用があります。これにより脂肪は分解され血液中へ、そして体の外へと排出されます。 血行を良くして体を温め、基礎代謝をアップさせてくれます。それにより体温が上昇し基礎代謝も上がります。すると内臓や筋肉も活発にスムーズに動くようになり、ダイエットへ繋がります。 食欲を抑制する効果 カフェインを摂取すると交感神経が刺激されて血糖値が上がります。すると腹八分目でも十分に満腹感を得ることが可能になります。食後に飲むと効果的です。 カフェインには血糖値上昇効果、クロロゲン酸にはその逆の効果。結局血糖値は上がるの下がるの？ クロロゲン酸には、糖質分解酵素の働きを阻害し、食後の血糖値が上昇するのを防ぐ効果があります。それに対し、カフェインには副腎髄質から分泌されるホルモンアドレナリンを増やし、アドレナリンにより血糖値を下げるホルモンインスリンの分泌を抑制する効果があります。 これによりインスリン分泌時にコーヒーを飲むと血糖値が上がり食欲を抑制する効果があります。さらに、カフェインにはPGC1aという物質を増やす働きがあり、これが増えるとミトコンドリアが活性化して血糖値を下げる働きもあります。で、結局血糖値は上がるのか下がるのか？ 短期的に見るとカフェインはインスリン抵抗を悪化(血糖値を上げる作用)させますが、それによる肥満との関係はないという研究結果が出ています。また、長期的に見ればクロロゲン酸の血糖値を下げる効果が期待でき、糖尿病予防に効果的とされています。 カフェインと脂肪燃焼のメカニズム カフェインが脂肪分解酵素リパーゼに働きかけることにより、脂肪が加水分解されます。加水分解とは、反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応のこと を言います。この場合、リパーゼが水を用いて脂肪の水素基とカルボニル基を切り離し、グリセロールと脂肪酸を生じる反応のことを言います。グリセロールと脂肪酸はそれぞれ血液によって必要な場所まで運ばれます。 マウスの実験では、カフェインを与えなかったマウスを安静状態に置くと6週間後、体重6％増、内臓脂肪8％増、皮下脂肪6％増だったのに対し、カフェインと安静のマウスは体重18％減、内臓脂肪37％減、皮下脂肪41％減、カフェインと運動をしたマウスは体重24％減、内臓脂肪60％減、皮下脂肪46％減という結果が出ました。 ※UCCホームページ「第66回　日本医学会ランチョンセミナーより抜粋」より コーヒーのダイエット効果を高める飲み方 ホットで飲む 暑い地域で育つ食べものは体を冷やす、という言葉は聞いたことがあると思います。コーヒーも暑い地域で栽培されるものなので、基本的には体を冷やす飲み物です。暑い時期に冷やして飲むのも美味しいですが、体を冷やすと代謝も下がってしまうので、なるべくホットで体を冷やさないように飲むのがベターです。また、温かいコーヒーの方がクロロゲン酸の吸収もよいのでホットにしましょう。 ブラックで飲む 先の項目でも触れましたが、お砂糖やミルクをいれてしまうとカロリーがぐんと上がります。できるだけブラックで飲むようにしましょう。また、アイスよりもホットで飲むようにしましょう。 粉末タイプよりもドリップタイプ ドリップするお湯の温度は80℃前後で。沸騰したお湯を一度別の容器に移したものが大体80℃になります。 粉末タイプの方が便利ですが、クロロゲン酸やカフェインなどの含有量はドリップタイプの方が多く含まれています。ダイエットを意識して飲むのならドリップタイプがお勧めです。また、クロロゲン酸は熱に弱いため、80℃のお湯でドリップします。 ドリップコーヒーとインスタントコーヒーの成分の違いってどのくらいなの？ カフェイン ドリップコーヒー(粉末10gを150mlで抽出)：0.06g インスタントコーヒー(2gを140mlで溶かす)：0.06g クロロゲン酸 ドリップコーヒー：200mg/100ml インスタントコーヒー：ドリップタイプマイナス15％ クロロゲン酸は熱に弱いため、熱加工工程が多いインスタントタイプでは含有量が減ります。 ダイエット効果を高める、コーヒーを飲むタイミング コーヒーを飲む際は3～4時間空けましょう。 朝や昼の活動する時間帯、運動の30分前、入浴前、就寝の四時間前までに飲むようにします。食後に飲むと食欲抑制効果により少ない食事量でも満腹感を得ることが出来ます。空腹時に飲むと胃酸の分泌が促され胃の負担になることもあるので、胃が弱い人は空腹時にコーヒーを飲むのは避けましょう。 また、カフェインには覚醒作用があるので、就寝の四時間前までに飲むようにします。 コーヒーは一日三杯を目安に飲もう カフェインの効果は食後30分から1時間で現れると言われています。そしてその効果は4～6時間持続すると言われていますので、時間を空けて効果が持続するように飲むといいでしょう。 少し前に流行した、バターコーヒーのダイエット効果ってどうなの？ アメリカのセレブの間で流行したバターコーヒーが日本でも話題になりましたが、本当にダイエットに効果があるのでしょうか。 栄養士の目線から言うと、バターコーヒー自体にダイエット効果はありません。 そもそもバターコーヒーダイエットとは、オーガニックコーヒーにグラスフェッドバターという、牧草で育てられた牛の乳のバターとコーヒーを混ぜて飲む飲み物で、それを朝食に置き換えてダイエットをするというものでした。 バターコーヒー自体のカロリーは普通のコーヒーに比べてプラス300kcalと、ケーキやドーナツなどのお菓子に匹敵する高カロリーです。グラスフェッドバターには良質な脂質(オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸)を含むので、ダイエット効果があるというものでしたが、朝食をバターコーヒーのみにすれば、当然脂質以外の栄養素は摂れませんし、１日のトータル摂取カロリーが増えてしまうデメリットのほうが遥かに大きいでしょう。 パンケーキ、フライドポテト、卵、ベーコン、コーラと言った朝食だけで1000kcal以上食べてしまうような人が、バターコーヒーだけに置き換えればカロリーの削減効果はあるでしょうが…。 ダイエットの基本はカロリー管理とバランスの取れた食事と栄養素が大事です。バターコーヒーダイエットは栄養素に偏りが出てしまうため、正しいダイエット方法とは言い難いでしょう。 コーヒーを飲んではいけない人 妊娠中や授乳中のお母さんは、過剰なカフェインの摂取は控えましょう。流産、死産のリスクが高くなります。また、お母さんが飲んだカフェインは血液を通して赤ちゃんにも流れます。赤ちゃんの肝臓は大人とは違い解毒作用も未熟なため、カフェインが体に蓄積されて弊害が起こることもあります。 授乳中も、母乳を通じてカフェインが赤ちゃんの体内に入ると、赤ちゃんがイライラして落ち着きがなくなってしまうことがあるので注意しましょう。(母親が摂取したカフェインの1％が母乳を通して赤ちゃんに摂取されます) WHOなどの注意喚起では、妊婦のカフェイン摂取量は一日に200～300mgが設定されています。ですが、飲まずに済むなら飲まずに済ませましょう。 イギリスの研究では、妊娠18～22週の妊婦のカフェイン摂取量と出生体重の関係で、カフェイン摂取が100mg以下の人に比べると、低体重児のリスクが100～199mgの人で20％増、200～299mgの人で40％増、300mg以上で50％増という結果が出ています。 また、カフェインを一日200mg以上摂取すると、全くとらない人に比べて流産のリスクが二倍、死産のリスクはコーヒーの摂取量が一日8杯以上(720mg)で高くなります。 また、貧血の人もなるべくコーヒーは避けてください。特に食中や食後にコーヒーを飲むと、カフェインが鉄の吸収を阻害してしまい貧血が悪化することになるので注意してください。貧血の人でどうしてもコーヒーなどのカフェインを含む飲み物が飲みたい場合、食後30分以上開けてから飲むようにしてください。 コーヒーは嗜好品ですので、ダイエット効果を求めて無理して飲むものではありません。 コーヒーの飲みすぎには注意しましょう コーヒーがダイエットに効果的とはいえ、体質に合ってなかったり、過剰に飲みすぎると次のような影響があります。 めまい 貧血 不眠症 肌荒れ 食欲不振 胃部不快感、嘔吐 一日のカフェイン摂取量は300～350mgが目安とされています。コーヒー100ml当たりにはカフェインが40～60mg含まれているので、一杯当たりのカフェインを60mgとして、多くても580ml(150mlのコップ4杯弱)までにしましょう。 いずれにせよ、コーヒーを飲めば痩せる、飲まなければ太るというようなものではありません。無理して飲むものではありません。 コーヒーにダイエット効果を求める前に コーヒーに多少のダイエット効果があるのは確かですが、摂取カロリーが消費カロリーを上回るような食生活をしていれば、当然ダイエット効果は期待できません。コーヒーを大量に摂取したからといってその分体重が減るのかと言ったらそれはノーです。 コーヒーをうまく食生活に取り入れると同時に、規則正しくバランスの取れた食事を心がけ、正しく痩せられるように努力する必要があります。 何事も適量があります。ダイエットの基本は正しい食事管理です。人生を豊かに過ごすためにも、正しい知識のもとで正しいダイエットを意識しましょう。 このエントリーをはてなブックマークに追加 スポンサーリンク コーヒーにダイエット効果はあるの？コーヒーの健康効果を高めるための知識と飲み方について。はダイエットの真実を追求するメディア【カロナビ™】で公開された投稿です。 close

コーヒーにダイエット効果はあるの？コーヒーの健康効果を高めるための知識と飲み方について。